2年前の話になります。

会社の仕事で川崎の 武蔵中原駅にあるお客様に伺うことになりました。お客様との打ち合わせは午前11時からで正午過ぎに打ち合わせが終わりました。お腹もすいたので一緒に同行してくれた同僚と武蔵中原駅高架下にあるお店で食事を取ることにしました。

確か腹ペコでマーボナス丼 の大盛りを注文したと記憶しております。すると昼食をとっている最中に、私の同僚がお店の店員さんとお客のやり取りに気がついたのです。同僚が私に 「彼、外国人ではないですかね?」と問いかけ、店員に 事情を聞いたところ、そのお客は現金を持っておらず、クレジットカードしかもっていないため支払いが出来ない状況だったのです。彼は店員に「どこかで現金が引き出せないか確認してくる」と英語で伝え、お店を出て行きました。

海外から来る外国人はしばしば現金を持たず、全ての支払いをクレジットカードで済ませようとすることが時々あります。手持ちのクレジットカードを使ってATMで現金を引き出せる場合もあるのですが、日本の駅や街角にあるATMは非常に不便で海外のクレジットカードでは引き出せない場合が多いのです。

我々は駅のATMに向かったと考え、追いかけてみたところ、思ったとおりお金を引き出せずにいる彼を見つけることとなりました。たまたま私は郵便局のATMであればどの国のクレジットカードでもほぼ引き出しが可能なことを知っていたので、彼を駅の近く にある郵便局に連れて行くことにしました。

郵便局まで連れて行ったところで、彼は「もうここまで連れてきてくれれば十分です」と言ってくれたものの、我々は念のため郵便局の前で待つことにしました。5分ほど待つと安心した彼を確認することが出来ました。彼は非常に驚いた様子でした。せっかくなのでお互い名刺交換をして、その場で別れることとしました。

その日から2週間ほどたったある日、勤め先で海外から我々宛に二通の郵便物が届いていると連絡がありました。送り主は彼で郵便物の中には韓国風の扇子と英語/日本語で書かれた手紙が入っていました。

海外の方との短時間のやり取りでここまできちんと謝意をいただくことは中々ないのでご紹介をさせていただきました。(撮影&文:mitsu)