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こんにちはデザイナーのイシカワです。

皆さんのご家庭にはわが家だけの習慣、ルール、習わしというのはありますか。

…きっと、ひとつやふたつはありますよね!

それらは大体が些細な事や、小さなこだわりだったりします。しかし他人にとって取るに足りない様な事でも、その家庭にとっては重要な意味を持っていたり、家族の絆を結びつける大切な素になるようなものがあります。

イシカワ家では家族の誕生日には必ず妻の手作りのチョコケーキを食すという決まりがあります。以前このルールを無視して「今度の○○の誕生日には××(ケーキの名店)でバースデーケーキを買ってこようか」と言ったら子供達から猛反発されました(…妻は残念そうでしたが)。

今回はこの手作りチョコケーキが、クリスマスケーキと並んでケーキ2大需要であるバースデーケーキの地位を獲得していった経緯と理由をお伝えします。

妻は別にお菓子作りが趣味という程、普段からお菓子を作るわけではありません。このチョコケーキも長男の何歳かの誕生日に1度作ったきりで、その後忘れ去られていました。それから数年の月日が経ち、長女が生まれ、妻がチョコケーキを娘の誕生日に再度作ったのです。「チョコレートそのものだね!」とか、「固いけど味わい深い」、「(表面に砂糖で描いた)絵が似てる」等、感想を言いあって誕生会がとても盛り上がりました。そして 「これから家のバースデーケーキは絶対ママの作ったチョコケーキにする」と長男が高らかに宣言したのです。それから誕生日はいつも手作りチョコケーキです。雨が降ろうが槍が降ろうがチョコケーキです。

私は思いました。「数多の高級ケーキは口に入れたら美味しいという感想は持たれるだろうが、このチョコケーキは子供達に心から愛されている。どんなケーキもこの地位にはこれまい」と。

だって味じゃなくて愛されてしまっているのです。キャラクターのように(笑)。

年に4回登場するこのチョコケーキ。回数を重ねるごとにプレミアム感を漂わせ、子供達からの変わらぬ支持を得て今に至ります。妻は手間がかかり大変と言いながらも皆に楽しみにされてるわけで、まんざらでもなさそうです。まだ始まって十年程の歴史の浅い未熟な習わしですが、わが家の重要な習わしです。

ちなみに私の役割は石のようにカチンコチンのこのチョコケーキを切り分ける係です。
(文=イシカワ)