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第五話『知恩・感恩・報恩』 -身近なところから道徳の実行-

人の一生は「生れて・老いて・病んで・死に行く」です。そして、その一生、私たちの人生を根底から支えるものには、主に以下の3つが挙げられます。   

①私たちの命を生み育ててきた人の系列=「家庭生活の伝統」、「いのちの恩」 
②平和で安定した社会や国を支えてきた人の系列=「国民生活の恩」、「国の恩+社会の恩」
③より良く生きるための心の指針を与えてくれた人の系列=「精神生活の伝統」、「師の恩」

これらの伝統(恩人の系列)は、宇宙自然の法則に従って、人類の生存、発達、安心、平和、幸福の実現に貢献してきた恩人の系列で、私たちの「生存の基盤」とも言えるものです。

①の例として、生まれる時は母の胎内で、宇宙自然の働きで生命が38億年前に誕生して今日まで絶えることなく続いてきた働きで月満ちて、多くの人の祈りとお世話によって誕生し、生涯色々の面で教育を受け育てられ成長するのです。

あたり前のように考えられがちな、この「生存の基盤」を改めて考える時、現代に必要不可欠な心は、生かされて生きていることのあらゆる恩恵を知る心(知恩)、 日々、そのような恩恵を感じて感謝する心(感恩)、そして、それらの多大な恩恵に報いていこうとする心(報恩)を持った生き方が道徳的な生き方と言われます。

「報恩」とは、一般に仏教の教えと思われています。遠い長いいのちの繫がりの結果が自分ですから、かけがえのないいのちの恩人に報いていく義務が、私たちにはあるのです。

※一般的に、伝統とは世代を重ねて受け継がれてきた、風俗、習慣、生活様式、文化的価値などを言う。※モラロジーで言う「伝統」とは、万物を生み育てる慈悲の心を人間社会に具体的に表している「恩人の系列」を総称する。更に、「伝統の原理」(オーソリノン・プリンシプル)とは、オーソ(Ortho, ギリシア語のオルトス=真っすぐ)+リノン(linon=糸)からなる新語で、宇宙から真っすぐ続いている糸を意味しており、宇宙かなたから「いのち」が届けられ自分にまで継承されている事への篤い感謝の心を起こし、その「いのち」を鍛え、次世代へ継承して行く責任を説いている。