こんにちはデザイナーのイシカワです。

今夏わが家はカレンダー通り、盆休みの初日に帰省をしました。例年は渋滞を避ける為に日にちをずらしたりしていたのですが、今回は大きくなりそれなりに忙しい子ども達のスケジュールを考慮して世間様と軸足を揃えて帰省することにしたのです。

…結果は渋滞!

それもかつて経験した事もない程のすざまじい大渋滞に巻き込まれたのです。実家に着くまでにいつもの2.5倍程余計に時間がかかってしまいました。今回のお話はこの大渋滞でうんざりしている中で始まりました。

「渋滞の一番最初ってどうなってんだろう」と、運転している私の隣りで高校生の長男が言いました。これって渋滞してる時によく出てくる言葉ですよね。

「そもそもたくさんの車が一挙集中してるのが原因なんだろうけど。まあ事故だったら車線規制していて行き場をさえぎられた車が車線変更する為にどの車線も極端にノロノロ、もしくは坂道が連続して全体的にスローダウンしてる区間とかあるからなんじゃないのかな」と私は答えました。

すると今度は後ろの席で娘がつぶやきました。「一番前をモニターで見れたらいいのに。先がどうなってるか知れたら納得いくかも」。確かに解決は無理だとしても原因がわかれば多少スッキリしますね。

その後、車が縦に細長く変形して他の車の隙間を走れたらいいのにとか、プロペラが出て空を飛べて行けたらいいのに(…それはクルマじゃない?)とか、家族みんなで無邪気にユーモア一杯の空想話に花が咲き、なんだかんだで退屈する事もなく渋滞時間をやり過ごしました。

さて、やっと実家に到着。おばあちゃん(私にとっては母)が駐車場まで出てきて迎えてくれました。「長い道程ご苦労さんだったねえ」、「きゅうくつだったね」、「たいくつしたでしょう」と、家族の疲れを思いやり労ってくれます。その晩には美味しい食事もたっぷりとごちそうしてくれました。お仏壇のお線香の煙をぼんやり眺めながら、私はこれなのかなと思いました。

渋滞の先にあったもの。

それは心安らぐ故郷に待つ家族の満面の笑顔と癒しのことばや心からのおもてなしなのだと。