子育てママのサークルを発足して16年が経過し、サークルもいくつか増えてきた中で思う事は、「子育て」が「弧育て」に変貌してきているという事。
核家族化が一般化して、ママ一人が孤独の中で育児に奮闘しているという現象です。もちろん、育メンも増えてきているようではありますが、それでも、パパとママだけの育児になっているのではないでしょうか…?
ひと昔前、子供は、三世代同居家族、大勢の兄弟、近隣、親戚の中でちょっと子供を見ていてもらう、お兄ちゃん、お姉ちゃんが子守りをする、近所の人に助けられたり、褒められたり叱られたり、親戚が来たり、親戚の家に泊まりに行ったり…と大勢の人々の関わりの中で、親も子供も、自分の家族以外の人々や環境(異文化)の感化を受けていて、それが子供の成長の栄養になっていた気がします。
ところが今は、育児が、親と子の中に限られている傾向があります。そのような環境の中で、育児、家事、仕事にと、一人で励むママ達の頑張りは、尊敬に値するものがありますが、私は、子育てサークルで、「頑張り過ぎずに、もっと多くの人々の中で子供を育てましょう!」と提案しています。
それは、昔の家族形態に戻せというのではなく、たとえ実家や親戚とは離れていても、それに代わる人々を周囲に探して関わりを持っていく事。日頃頼りになるのは、「遠くの親戚より近くの友」と言いますしね。育児の知恵やヒントはもちろん、日頃不満に思う夫や妻の難点が、よその家庭に比べたら、まだマシだとか、みな同じとか…妙に囚われていた自分の気持ちから解放されたり、笑えたりとか。ある子育てサークルでは、最初はママ同士の交流や日頃の助け合いから、今や、休日は家族ぐるみでお出かけ、食事会などを楽しみ、子供同士も兄弟、親戚のような関係ができてきています。
親が異文化交流を積極的にする中で、親子で視野が広がり、家族以外の人の愛情や恩を感じ、人との関わり方、お互いが助け合う事を学び、それを喜びとしていきます。悩みや不安を一人で抱えるストレスフルな『弧育て』から、安心と喜び、悩みや問題をシェアする『濃育て』を目指していくと、夫婦も子供も、日々の閉塞感からしばし解放され、家庭にハッピーな笑顔と話題が増えていくはずです。